
塗装職人として働き始めたばかりの頃は、先輩から教えてもらったことを一つずつ覚えていくところから始まります。
「ここを養生して」
「この材料を準備して」
「次はここを塗って」
最初は、言われたことをきちんとできるだけでも十分です。
しかし、経験を積んでいくと、いつまでも指示を待っているだけでは成長できません。
「次は何をすればいいのか」「どうすれば現場がもっとスムーズに進むのか」
自分で考えて動けるようになったとき、職人として一段階上へ成長していきます。
最初は「言われたことをやる」でいい
未経験で塗装の世界に入れば、分からないことばかりです。
道具の名前も分からない。
材料の違いも分からない。
現場の流れも分からない。
そんな状態で、最初から自分で判断するのは難しいものです。
だからこそ新人のうちは、まず先輩の話をよく聞き、教わったことを正確にやることが大切です。
分からないことを勝手に判断するのではなく、確認する。
基本をしっかり身につけることが、「自分で考える職人」になるための土台になります。
慣れてきたら「次」を考える
少しずつ仕事を覚えてきたら、意識してほしいことがあります。
それは、今やっている作業だけではなく、その次の作業を考えることです。
例えば、養生が終わったら何をするのか。
下塗りが終わったら次に必要な材料は何か。
今日の作業を終えるためには、何時までにどこまで進める必要があるのか。
こうしたことを考えながら仕事をすると、少しずつ現場全体の流れが見えてきます。
「次は何をすればいいですか?」
と毎回聞いていた人が、
「次はこれを準備しておこう」
と自分から動けるようになる。
これは職人として大きな成長です。
上手い職人ほど段取りを考えている
仕事が早い職人を見ると、手を動かすスピードが速いように見えるかもしれません。
しかし、本当に仕事が早い職人は、ただ急いでいるわけではありません。
必要な道具を先に準備する。
材料がなくなる前に確認する。
次の工程を考えて作業場所を整える。
仲間の動きを見ながら自分の仕事を進める。
つまり、作業を始める前から仕事を考えているのです。
良い段取りができれば、無駄な動きが減り、現場全体もスムーズに進みます。
「なぜ?」を考えると技術が身につく
先輩から仕事を教えてもらったとき、
「分かりました」
だけで終わらせるのではなく、
「なぜ、このやり方をするんだろう?」
と考えてみることも大切です。
なぜこの下地処理が必要なのか。
なぜこの順番で塗るのか。
なぜこの部分は刷毛で、こちらはローラーなのか。
なぜ今日はこの工程までなのか。
理由まで理解すると、別の現場でも応用できるようになります。
やり方だけを覚えるのではなく、理由まで理解して初めて、本当の意味で自分の技術になっていくのだと思います。
自分で考えることと、勝手に判断することは違う
ここは、とても大切なところです。
自分で考えて動くことは必要ですが、分からないことまで勝手に判断していいわけではありません。
塗装工事では、間違った判断が仕上がりや品質、安全に影響することがあります。
迷ったときは先輩や責任者に確認する。
そして、
「自分はこう思うのですが、どうでしょうか?」
と聞いてみる。
これだけでも大きく違います。
考えたうえで確認する。
その繰り返しによって、自分で判断できる範囲が少しずつ広がっていきます。
周りを見られる職人は信頼される
さらに成長すると、自分の作業だけではなく周囲にも目が向くようになります。
後輩が困っていないか。
材料は足りているか。
現場が汚れていないか。
危険な場所はないか。
予定通り作業が進んでいるか。
誰かから言われる前に気づいて行動できる職人がいると、現場は大きく変わります。
そして自然と、
「この人なら現場を任せられる」
と思ってもらえるようになります。
職人の価値は、塗る技術だけで決まるものではありません。
周囲を見て、考えて、行動できることも大切な力です。
考える力は、毎日の現場で身につく
最初から何でも判断できる人はいません。
経験して、失敗して、先輩に教わって、また考える。
その繰り返しです。
昨日は言われてから動いたことを、今日は自分からできた。
以前は分からなかったことに、今日は自分で気づけた。
そんな小さな成長の積み重ねが、やがて大きな差になります。
富士塗工では、ただ指示された作業をこなすだけではなく、自分で考え、周囲を見て行動できる職人へ成長してほしいと考えています。
最初は「言われたことをきちんとやる」。
そこから、
「次は何をするべきか」
「もっと良くするにはどうすればいいか」
を考えられるようになる。
言われたことだけをやる職人から、考えて仕事をつくれる職人へ。
その変化が、将来「この人なら任せられる」と言われる職人への第一歩です。
