
特別なことより、毎日の当たり前を大切にする。
同じ職人として仕事をしていても、
数年経つと、大きく成長する人と、なかなか差が縮まらない人がいます。
最初から特別な才能があったからでしょうか。
器用だったからでしょうか。
もちろん、それも多少はあるかもしれません。
しかし、長く仕事をしていると、本当の差はもっと小さなところから生まれているように感じます。
それが、
毎日の小さな積み重ねです。
朝、少し早めに準備する。
使う材料を確認する。
道具をきれいにする。
養生を丁寧にする。
塗り残しがないか確認する。
作業が終わったら、きれいに片付ける。
分からないことがあれば聞く。
教わったことを次の現場でやってみる。
一つひとつを見れば、決して難しいことではありません。
でも、
それを毎日続けられるかどうか。
そこに職人としての差が出てきます。
例えば、一日に一つだけ新しいことを覚えたとしても、
一年続ければ大きな経験になります。
一つだけ余計に確認する習慣があれば、
それによって防げる失敗も増えていきます。
毎日少しだけ道具を丁寧に扱えば、
道具の状態にも気づけるようになります。
今日だけを見ると、小さな違いです。
しかし、
一年、三年、五年と続けば、その差は大きくなります。
職人の成長は、突然起きるものではありません。
昨日まで積み重ねてきたものが、少しずつ自分の力になっていくのです。
そして、小さな積み重ねは技術だけではありません。
時間を守る。
約束を守る。
挨拶をする。
仲間に声を掛ける。
現場をきれいにする。
お客様や近隣の方に気を配る。
こうした行動も、すべて信用につながっています。
一回やったから信用されるわけではありません。
毎日続けているからこそ、
「あの人なら大丈夫。」
「安心して仕事を任せられる。」
と思ってもらえるようになります。
信用もまた、小さな積み重ねによってつくられるものです。
一流の職人というと、
難しい仕事ができる人や、誰よりも仕事が速い人を想像するかもしれません。
しかし、本当に良い職人ほど基本を大切にしています。
準備をする。
確認する。
丁寧に作業する。
片付ける。
振り返る。
そして、また次の日も同じように続ける。
派手ではありません。
でも、その当たり前を何年も続けてきたからこそ、高い技術と大きな信用があります。
若いうちは、早く上手くなりたいと思うものです。
周りの職人を見て、
「自分も早くあんな仕事ができるようになりたい。」
と思うこともあるでしょう。
そんな時こそ、焦らなくていいと思います。
今日できることを、一つ丁寧にやる。
昨日より一つ気づく。
昨日より一つ覚える。
昨日より少し良い仕事をする。
それを続けていけばいい。
大きな成長は、小さな一歩の積み重ねから生まれます。
富士塗工は、目立つ技術だけではなく、毎日の基本を大切にできる職人を育てていきたいと考えています。
誰かが見ているから丁寧にするのではなく、
自分の仕事として丁寧にする。
その姿勢を積み重ねていけば、技術も信用も必ずついてきます。
今日の小さな積み重ねが、
数年後の自分をつくっていきます。
職人の差は、小さな積み重ねに出る。毎日の当たり前を大切にできる人が、やがて大きな信頼を得る職人になります。
